Case:‘Women’s Inspiration Day’
本日は大人気ソーシャルメディア“Pinterest”と一般的に相性が良いと言われる、ファッション、インテリア、雑貨、旅行関連といった「写真で自社の商品をアピールできる業種」ではない企業による、“Pinterest”を活用して素晴らしい成果を挙げたキャンペーンをご紹介します。
主役は、世界80カ国以上で女性の生理用品を専門に扱うブランド「Kotex」です。
(「Kotex」はクリネックス等の衛生用品を取り扱うグロバールカンパニー、キンバリー・クラークが有する1ブランド)
プロモーション背景・狙い
「Kotex」は女性のためのブランドであり、ターゲットである女性に対して「あなた達と常に一緒にいるんです」、「あなた方を理解していてそばにいます」というメッセージを発信していくことをプロモーションのベースに据えています。
彼らがターゲットとする女性の関心は当然一律ではなく、彼女たちが「好きなもの」、「胸をワクワクさせるもの」は千差万別であるという状況下において、「Kotex」は現在のソーシャルメディア全盛の時代にあって、『女性たち自身が自らの関心ごとを自由に気楽に表現する場所はどこか?』と想像をめぐらし、最適なツールとしてPinterestに白羽の矢を立てました。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
※一般的な意識調査やグループインタビュー以上に、女性たちの「心の奥・本音」が、ある側面においては垣間見えるツールとしてPinterestを捉えたのではないかと思います。
施策内容
プロモーションテーマは、‘Women’s Inspiration Day’ というもの。
「Kotex」はまず、Pinterestで影響力のある女性ユーザー50名のボードを時間をかけてじっくり観察します。
彼女たちがピンしているものを見て、各人「何に興味をもっているか?」、「どんなセンスの物が好きなのか?」、「どのようなデザインのものに心が掻き立てられるのか?」といったことについて綿密に調べます。
Image may be NSFW.
Clik here to view.Image may be NSFW.
Clik here to view.
そして、彼女たちそれぞれのボードが示唆する、「好きなもの・好きなデザイン」を考慮して彼女たち一人一人用に手作りのプレゼントを作成します。
一つ一つ丁寧に手間暇かけて、それぞれの好みに即したプレゼントを作り上げていきます。
Image may be NSFW.
Clik here to view.Image may be NSFW.
Clik here to view.Image may be NSFW.
Clik here to view.
出来上がったプレゼント類とメッセージカードをギフトボックスに詰め込みます。
Image may be NSFW.
Clik here to view.Image may be NSFW.
Clik here to view.
ここで、「Kotex」は自社のPinterestアカウントから各インフルエンサーが投稿している写真に、『Kotexはあなたのこういった自己表現の仕方が大好きです!URLの先にある写真(プレゼントボックスの写真)をリピンしてくれたら、私たちならではの手法であなたへの想いを表現してみせましょう!』というコメントを残します。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
そして、この写真をリピンしたインフルエンサーの自宅に、各人用のギフトボックスをそれぞれ届けました。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
結果
この50個のプレゼントの結果、ほぼ100%のインフルエンサーが自身のPinterestボードにプレゼントの写真を投稿しました。それだけではなく、Facebook、Twitter、Instagram(※詳しくない方はコチラ)といったソーシャルツールで写真やコメントをドンドンアップしていき、投稿・コメントといったコミュニケーションの総数が2,284件に至り、それらのインプレッションは694,853PVに至りました。
Image may be NSFW.
Clik here to view.Image may be NSFW.
Clik here to view.Image may be NSFW.
Clik here to view.
今回の事例を見て、19世紀に生きたフランスの食通“サヴァラン”が残した、『その人が食べているものを見れば、その人がどんな人か言いあてましょう』という言葉をふと思い出しました。直観性に優れたPinterestの場合、顕在意識だけでなく、その人自身も意識していない潜在意識までボードに反映される可能性もあり、その結果Pinterestのボードを見れば、その人の興味関心だけでなく、どんな人なのかというレベルまでもある側面ではわかるのかもしれない、と感じます。
プロモーションの内容でいうと、50人のピンタレスト・インフルエンサーのボードを一つ一つじっくり観察し、その上で各ユーザーが「好きな物」「心動かされる物」を手作りで用意して、実世界でプレゼントするという企画。
地道でとても労力がかかるアプローチですが秀逸な取り組みだと感じます。マーケティング活動にピンタレスト(ソーシャルメディア)を活用しようとする企業は、『このような生活者の視点・目線』に寄り添って取り組むことが重要なんだと改めて気付かせてくれるケースです。
同時にTwitterやFacebookといったソーシャルメディアをマーケティングに活用する際に、様々なところで『傾聴』が大事と言われますが、Pinterestの場合だとツールの特性上、『観察』・『見物』・『観賞』という行為をうまく使いこなすことを念頭に置くと、有効な企画に至るための視野が広がりやすいのではないかと感じました。
Pinterestのプロモーション事例に関心のある方は下記記事も是非ご覧ください。
*イギリスの航空会社によるPinterestを活用した実験的プロモーション(2012年 / イギリス)
*米ファッションブランドによるPinterestを活用したコンテスト型キャンペーン(2012年 / USA)
動画はコチラ
参考サイト
・Adverblog
http://www.adverblog.com/2012/03/23/is-this-the-smartest-brand-use-of-pinterest-yet/